Gear-Lab・釣具の逸品通販モール
ホームWEB魚図鑑さかなBBS通販法表記

福山克義がつづる
汗と涙と笑いのモノつくりコラム

(38)素晴らしいデフレ環境を楽しむために

デフレはまだまだ長期的に続きそうですね。マスコミを見ていていつも思うのですが、デフレ=不景気=家計が厳しい というパターンが頭から離れないようです。私はこの考え方はちょっと違っていると思います。

デフレは、食料品や家電製品、衣類、雑貨などが値下がりしますから、家計の支出を減らします。モノあまりの時代でもあり、よほど魅力あるものが出てこないと買い換えなどはしませんね。

この値下がりは収入の下がり方よりもはるかに大きいので、家族が使える可処分所得は増えてきます。給料が減った分だけ小遣いを減らされているお父さんは、ここをよく見て欲しいです(^_^)。不景気といいながら、給料が減ったといいながら、生活は良くなっています。

あなたがバブル期にバブルの恩恵を授かっていなかったとして、当時の生活と今の生活と比べて、いかがでしょう?ほとんどの方が今の方が良い生活をしていると思います。私の廻りでは、知らず知らずに増えている可処分所得が、生活を変えてきていることがはっきり分かります。

デフレの時代は私のような弱者にとっては最高の環境です。逆にインフレの時の私は、大きい方が必ず勝つ時代だったのであまり面白くありませんでした。当然ながらデフレは買い手が強い時代なのですが、弱者でも小さな市場のナンバーワンになるチャンスが許される時代でもあります。

強い買い手を満足させるCSは、インフレ時代のものとは全く違ったものであり、トコトンCSじゃないと駄目です。インフレ時代の中途半端のCSは誰も相手にしてくれません。今は本物しか受け入れられないのは当然で、研ぎ澄まされた格調高いものでないと世の中は相手にしてくれない時代でもあります。ですから安売り合戦をしても会社の成長が見込めないのはここにあります。

こんな時代に必要な先行投資は何かと聞かれたら、間違いなく私は「勉強」だと答えます。弱者が勝ち残るためには、オンリーワンの魅力を持つこと。そのためには勉強です。大企業に勤めていても個人のオンリーワンの魅力がやっぱり力を発揮します。

勉強というと、机に向かってというイメージがしますが、実はなんだって勉強になるんです。でも、勉強を頑張るという言葉には、どこか悲壮感がありますね。私も好きではありません。イメージ的には勉強をハリキルというと良いかもしれません。

自分の勉強のためにどのくらいお金と時間をかけることができるかが、後で勝負の明暗を分けると思います。入ってきたお金を自分に投資しましょう。お金を銀行に貯金するのではなく自分自身にインストールします。

人はお金を使うことで何かを学びます。釣りでいえば、竿やリールなど高価な道具にお金をかけることも勉強といえるかもしれません。普通は、釣りがうまくなってから、良いリールや良い竿を買おうとするものですが、ちょっと無理して買った釣具には価値があります。なぜならば釣具からうけとるテンションがメンタリティーの中で高いからです。

高かったなあと思いながら、そこで何が高かったのか自然に考えてしまう自分がいる。これが大事だと私は思います。逆に安ければ、「安かった。儲かった。」で終わってしまいますね。

お金を使う時、遊び道具である釣具を買うお金を「コスト」や「経費」としてみると、なんだかつまらないです。でも、自分に対する「投資」としてみると何かワクワクしてきます。買うときに「投資」だと自分に言えたらそれは間違いなく「投資」です。

そう考えると仕事と遊びは、ますます分けないほうが良いと思えます。あらゆるチャンスをとらえて、それをミックスするのが良い生き方にも繋がると思うのです。

運転していても、レストランに行っても、テレビを見ていても「なるほど!」と言えることが多ければ多いほど、その人の学びの力は大きい思います。

今まで行ったことがないところに行ってみた。参加したことのない会に出てみた。食べたことないところに行ってみた。そうすると何故かツキまで廻ってきます。

たとえばいつも同じことをしたり、いつも同じ居酒屋で呑んでいると何故かツキは来ないんですね。「いつものあれください」と注文するようになったら要注意です。全然アグレッシブでないので、カッコ良くもなんともないのです。

勉強の中で大きなウエイトを占めるのは、読書だと思っていますが、本を読んでも「あまり面白くなかった」「知っているよ」「当たり前じゃん」「俺のレベルはそんなもんじゃない」などと言う人は、悲しいかな学ぶ力が足りないと思います。逆に言えば、ほんの些細なことに「なるほどそうか!」と言える人は凄いと思います。

そんな人は、人に対しても「なるほどそうか!」と思ってしまうので人間関係もいいし、いつも学んでいます。

「賢者は長い耳と短い舌を持つ」という格言通りです。初心者の人に対しても頭を下げて教えてもらう姿勢が大事だと思います。私もジムでサンドバッグを蹴っている人が後輩であっても「あっ。そのコンビネーションいい!」マネしよう。と思いながらこの歳でますます磨きをかけてしまいます。脚はだんだん上がらなくなってきましたが(~_~;)。謙虚だから良いのではなく、吸収できるから良いのだと考えています。

勉強の中で一番吸収できるのは失敗です。毎日の仕事や生活の中で失敗があります。失敗することに対して、実力で失敗したというのと、運が悪かったというのは雲泥の差があります。いつも運が悪かったという人は何も学ぶことができなくなります。また失敗しない人と一緒に行動しても楽しくもなんともありません。

失敗談は楽しいんです。頭が素直で柔軟になれる瞬間です。「また失敗しちゃったよー」と言える余裕も大事かもしれません。私の先輩には「おー。福ちゃん。最近何か失敗した?」と挨拶代わりに言う人もいます。これくらいオープンに話しができれば失敗談は楽しいということになります。

そうした勉強も忙しいからできない。という真面目な人もいます。しかしそこで簡単に「忙しいから」という理由付けをして納得してしまい、本当は勉強しないから忙しいというのが真実だということになかなか気づかない。

そうしたときに大事ことがひとつあります。自分の芸風を壊さないことです。芸風とは「やりたいこと」です。儲かるからこの方面を勉強しようなとどいう、芸風から外れるのは学びにはなりません。

さて、その勉強で仕入れた「情報」ですが、やっぱり多ければ多いほどいいです。情報過多と言われる時代ですが、自分の芸風とあっていればやっぱり多い方が良いと思います。その情報は新しい価値を見いだすことになるからです。

私は、とにかくいろんなところに行って、いろんなモノを見るのが好きです。自分の芸風ポケットに情報引き出しをたくさんもっていることが、自分のオリジナルのアイデアがでてきます。アイデアといっても、発明や開発という立派なものではありません。

私が尊敬しているポリエチレン袋製造メーカーの日本フィルム(株)の田北社長から聞いた言葉ですが開発や発明ではなく「改良が全て」だと。「改良」です。その会社は小さな改良の組み合わせが、とんでもない成長を遂げています。

この業界は輸入品に押されてどこも火の車なのに、その会社は素晴らしい経常利益をあげています。特許庁長官賞、グッドデザイン賞などを受賞し「改良」でビジネスを組み立てています。
いつも変化し続けています。この会社の今年の改革は数にして300を超えるといいます。工場内を見学させていただくとその改良の多さに感動の連続があります。正にエンターテナーです。豊かなものづくりの魂を感じます。

「新しい価値の創造」「心は見えないが、心づかいは形にできる」という姿勢で、大胆な行動力があります。大勢と同調しないある種の輝きがあります。

この戦略的思考能力の素晴らしさは、現場や街で熱心に仕事をするなかで生まれるひらめきのようなものです。時代を肌で感じるひらめきこそが仕事でしょう。ですから、仕事と遊びを分けて考えるなんてとんでもない話しなのです。

時代に対応するような経営スタイルでは、時代について行くのが精一杯で、とても勝ち組にはなれません。変化を先取りするというのも既に遅い感じがします。この会社のように自らが時代の変化を作るというスピードが大切なのでしょう。

デフレにおける勝ち組のキーワードは「改良」そして「スピード」です。そのために常に勉強を楽しみたいものです。