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福山克義がつづる
汗と涙と笑いのモノつくりコラム

(2)大手にできないチャレンジをしよう。〜発明・考案〜

今回は、考案や発明について話します。といってもこれはあくまでも私の体験だけですので何の参考にもならないかもしれません。
ただ、自信をもっていえることがあります。
発明をしたのに売れなかったという経験を数多くこなしているところです。殴り合いのケンカして、勝ったという話よりも大負けして、チビッたという話しが面白いでしょ?いやいや失敗は成功にたどり着く大事な経験です。

以前会社に勤めていたときに簡易野菜包装機で特許庁から発明賞までいただいたことがあります。授与式までは新聞などの取材もあり、こりゃあ凄いぞ、これで俺様も取締役ぐらいになり、給料は間違いなくはね上がるな、とかなりハイな気分になっていました。全日空ホテルで全国代理店会まで開催し天下のM物産が総代理店です。

しかし、いざ販売になると・・・売れません。
評判は良いのですが、農家が買ってくれません。
会社は1億円以上の設備と在庫を抱え込み、私は退職の道をまっしぐらです。

その次に、トイレの音消し装置の発明。電子音の擬音ではなく、水圧を利用した本物の音だけを出して女性トイレの音消しに投資しました。トイレット博士(古い)気分でこれも鮮やかに失敗。その後、トイレットペーパーホルダー、ねじれない電話コード、台風対策梨の落下防止袋、波にのるウキ、飛行するオモリ、自動アワセ装置などなどまだまだあります。すべて内容の濃いものばかりです。

一つの特許を専門の弁理士にお願いしていると最低30万円かかります。素人が安いからといって何のために出願しているのかなあと思える特許が世の中にはたくさんあります。
安い特許出願は、意味をなさない場合が多いといえます。そんなに失敗したの?といわれるとその通りですとしか言いようがありません。
一度独立して大失敗をしたときは、「このまま家族を路頭に迷わすことになるかも」と真剣に落ち込みました。しかし、それを助けてくれた人がいたので本当に感謝です。この人がいなかったらどうなっていたことか。

失敗を続けた私でもはっきりいえることがあります。
行動を起こしたから失敗したのです。
動機はどうであれ、下心がパワーになったかもしれません。しかしアクションに対してのリアクションです。当たり前のことですね。

この当たり前のことを、不況の中の大企業はチャレンジできない状況にあるのはご存じですか?あの大手が新しいことにチャレンジできない状況に今後ますますなってきています。試しにご自分のアイデアを大手に持って行かれて下さい。かなりの安全性のある発明(すでに特許を出願していてそれが基本特許になっていることなど)でないと窓口の担当者が動けない状況にあるのです。
すなわちリスクなしの状態でないといくら大手様とはいえ、一人のサラリーマンの権限では、チャレンジしにくい状況にあると思います。

大手釣具製造のA社も、知的所有権の管理費用が足をひっぱり資金繰りに相当苦労させられたなんて凄い話しもあります。今までは、資本力にまかせてそれゆけどんどんで開発製造してきたのですが、現状ではかなり手堅いものにしか手を出していない状況です。

釣具に進出した家電メーカーも最近の様子をご覧下さい。様子がちょっと変でしょ?私は、それに比べチャレンジした回数は大手担当者には負けません。私は開発の都度、このことを体験しました。ただ、交渉先が相手にしてくれないとそりゃ〜かなり惨めですよ。その日だけは、流石の私も自己嫌悪に陥りやけ酒です。

でもこれだけいろいろな担当者に会うと、業界は違っても馬鹿な私にも共通することがみえてきました。なくすものがない私は強いです。しかし、なくしてはならないものがある大手企業の担当者の方は非常に慎重です。(決して大手様を敵に回そうなんて考えていませんよ)また、大手だからと言って本当の開発力があるかといえば、そうではない部分もたくさんあるなとも実感しています。それはフィールドテストを伴うローテク部分の開発です。

いろんな釣具を見ても、机上理論が多いのではという思いは私だけでしょうか?釣具は、ほとんどが人間の知恵を身近にトライしやすいものだと考えています。竿やリールはかなり難しい技術があるのでわかりませんが、その他の道具についてはまだまだたくさん面白い考案があるはずです。もし、貴方が「うん、そうだなあ」と思ったらチャレンジする意味があります。もし「そんな考案なんて」と思われた方は得意分野が違うと思いチャレンジしない方が賢明だと思います。

さて、発明の度合いですが、大した発明でなくとも販売では大ヒットすることもあります。
逆に噂が走る発明であっても、全く売れないということもあります。
これは、なんなのでしょう?私は総合販売力が大きな力を持つと思います。

私は営業という仕事を17年間やってきて「営業は不要だ」とまわりにいっています。
しかし総合販売力は必要不可欠だとも付け加えています。営業の形が完璧に変わりました。これは断言します。中途半端な姿勢をとっている会社が斜陽路線をたどっています。その尺度でみると大手の勝ち組は「花王」でしょうね。
これについては、実際に売れた事例をもとに釣具販売のところで述べたいと思います。次は順番からいくと、仕入・製造についてですが、皆さん「売ること」について興味がおありかと思いますので、そちらを先にのたまわせていただきます。

次回をおたのしみに。

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