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福山克義がつづる
汗と涙と笑いのモノつくりコラム

(8)「お客様本位」はネットでも基本です。

昔からある商家に、必ずといっていいほど伝わっている商売の心得は、「お客様本位」ということです。言い古されて、形骸化しているところもあるでしょうが、私がお世話になっている好調な企業も「お客様第一主義」を基本にしています。これは現代のインターネット販売にもそのまま通じる極意だと思います。
いや、ダイレクト販売ができて、メールや掲示板が使えるインターネットだからこそ、これが最大限に活かされるのです。

お客様からダイレクトに声が聞こえると何が素晴らしいのでしょうか。どんな商品でも問題となる価格設定を例にとってみます。

一生懸命に作った製品、愛情たっぷりで出荷される品物は本当に可愛いものです。その開発にかけてきた労力を振り返ると、この価格は安いものだと自分では思ってしまいますが、価格の高い安いを決めるのはもちろん自分ではなくお客様です。

国内ではまだまだ、企業も個人も原価積み上げ式で売価を決定しているところが多いのですが、アメリカでは、消費者が先に価格を決めてしまうのでそれにあった素材や仕組み、工程が組まれるといわれます。

もし「値段が高い」という声がダイレクトに聞こえてきた時の自分の姿勢は非常に大切だと思うのです。「うん。高いよなあ」と自分も思えるのか、それとも「これだけ開発費がかかったんだから」と一蹴してしまうのか。この差は、大きいです。問題としてとらえるのかそうでないのかの差は、結果として大きな販売力の差となってきます。

高いことを認めるということは、悩んでいる証拠です。後者の悩んでない人は、何をいわれても悩みません。したがって、試行錯誤の努力ができないのです。たくさんの問題があっても、「自分はそうは思わない」という「我」が出てしまうと、商売人としては成長がストップしてしまいます。

特に自製自販の個人販売の場合、こういう作り手中心の考え方に陥りやすいのですが、商売である以上、自分の商品のあり方についてマクロで長期的な見方ができないと駄目です。
逆にひとつの問題でも、あれが悪いのかこれが悪いのか、原因は何なんだとたくさん悩む人。こういう人は成功に近いところにいます。悩みを基に日々、物事が改良されていくからで、それが商売の原点だと私は思います。お客様本位というのは、お客様の機嫌をとることではなく、お客様の声を天の声として、自分と商品に厳しく立ち向かうことです。

商売をやる上での素質というものがあるとすれば、それは「感謝」ができることと「素直」さだけだろうと思います。人の意見やお客様の声に悩み、それを乗り越えた時に、そうした声のありがたみがわかります。また、人の意見を聞いて向上しようと思う人は、自然に素直になれます。逆に我ばかりの人は素直になれないので商売はうまくいきません。精神論ではなくて、商売に対する取り組みの姿勢がちがうのです。

インターネットでも商売人としてたくさんの悩みを通じて感性を磨くことができます。組織では、ヒラ社員はあまり悩みません。経営者はたくさんの問題を抱えて悩みます。

全権を自分がもっている個人販売は、職人の手と販売員の感性と社長のセンスが必要になります。どれかが飛び抜けて優れている人は別として、そのバランスをとることが大切です。それを教えてくれるのがお客様の声なのです。

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