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福山克義がつづる
汗と涙と笑いのモノつくりコラム

(13)作り手が語ることの大切さ

数名で結成した開発グループの大失敗を紹介します。そのグループは、最初に考案したメンバーが作る担当、残りが売る担当ということになっていました。インターネットで販売しようと決意して進めてきたのですが、販売に行き詰まりを感じていました。

なぜなら、作り手のメッセージが形だけのもので止まってしまったからです。作り手のメッセージがネット上でも本気で熱く伝わらないのです。書けと言われて仕方なく書いたメッセージほど面白くないものはありません。えてして、そういった人は、自分の顔すら出そうとしないものです。これは、サイトを見る人がビンビン感じてしまうことなのです。お客様はいつも冷静で厳しい目をもっています。これでは売っている状態ではないと、話し合いで突っ込んだ話をしたらしいのですが、どうも作り手にわかってくれません。

これからは、もっとモノづくりをする人間が、売るということに対して情熱あるメッセージを送らなければなりませんし、その中で自然にうまれるお客様とのコミュニケーションの中で開発や設計変更、新しい案件も当然出てくるはずです。

お客様が読みたいメッセージは、その商品の詳細な特徴や、それを使うことによって釣り(生活)がこう変わるよ、という提案はもちろん、開発途中の汗と涙の笑いの日々、などといった「やった人だけが知っている裏話」も含まれます。案外、そういうものが面白かったりします。ネットで販売が成功するような商品はお客様の共感が何よりの力になるのですから、その努力を惜しんではいけません。

「作るのが俺達の役目で売るのがあんたの役目や」という古い考え方では、明らかにパワーダウンします。今までのように、「良い商品」を作れば売れるという時代ではなくなっている事を、なかなか理解されない作り手が多いのです。

また、ここにはモノづくりをする人が今まで味わったことのないコミュニケーション能力も求められてきます。同時に凄いエネルギーを必要とします。この場合のコミュニケーション能力とは、「明るく対応する」だけといってもいいと思います。難しい社交術などは必要なく、それについてパワーを出せるか出せないかの差だと思います。

それは、お客様の方が全てお見通しだと思うのです。私も営業職を長いことやっていますが、無口な営業マンが優れた成績を出すことがあるのは、この力を出そうと努力していることにお客様が先に気づくのです。そういった意味でお客様はどの時代でも寛大でなおかつ優れた解析能力を持っています。

俺は営業テクニックがある。営業経験があると言っている人は、お客様にはバレバレの状態であることに気づいていないのです。それは、「ニオイ」ともいえる感覚でしょうか。口達者な営業マンは、自分が出しているニオイに気づいていないものです。もちろん、ネット上でもこのニオイはプンプンします。

起業は、ものすごいトルクを必要とします。そんなときに、どんなに素晴らしい商品をもっていようが、「俺はモノづくりだけで起業できる」という考えを持っているのはお客様からニオイとして感じとられます。「甘い」と言われても仕方ないかもしれません。青色発光ダイオードなど、それひとつで世界が変わるような発明ができれば別ですが。

モノづくりをする人のメッセージを、買う人は必ず聞きたがってます。その小さな共感が、お客様の満足感につながっていることを忘れないでください。語ることは、売ることにつながるという以上に、立派なお客様サービスなのです。

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