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福山克義がつづる
汗と涙と笑いのモノつくりコラム

(25)アメリカに学ぶこと

大企業は別にして、中小零細企業の販売メソッドは日本はアメリカに学ぶことがかなりあると思います。アメリカの販売に関するビジネス本(翻訳されたもの)を読んでみると、なるほどなるほどとうなづいてばかりです。

アメリカのビジネスは主に直販方式がほとんどで、メーカーが直接小売店やユーザーに販売するという、日本の問屋というものがありません。歴史をたどるとアメリカが建国してからアメリカ大陸にはメーカーというものがなくヨーロッパから出てきた卸業者がアメリカの小売店に直接販売してきました。

その結果、地元に卸業がヨーロッパの卸業者に牛耳られ育たなかったらしく、そのあとアメリカにメーカーができてもすでに商流をつかんでいるヨーロッパの卸業者が有利だったのです。

アメリカのメーカーは最初から大きかったわけではないので、そこで戦って勝つ方法としては「下請けをしないで自社製品をもつ」か「直販をする」かしかなかったのです。これはあの有名で戦争でも商売でも使われたランチェスターの法則にぴったりあてはまります。80年前の法則だからと言って馬鹿にできません。今でもこの法則はビジネスで立派に生きています。

前者の自社製品をいきなりもつ事はできませんので、後者の「直販をする」ということは、ランチェスター経営の竹田陽一さんの言い方をすれば「接近戦」をすることでヨーロッパの卸業者と対等に戦うことができたのです。

前々回のコラムでも書きましたように戦争は総力の戦いではなく、一極集中が大切になってきます。弱者は局地戦、接近戦をすれば小さな会社でも同じ力で戦うことができるというのがランチェスターの第一法則です。通常大きな会社と小さな会社では、その力の二乗に比例してその差が大きくなりますが、直販ではその差はなくなるのです。この法則は、全く相手を知らない人を商売相手に直販するBtoCというインターネットの商売の中でかなり大きな効力を発揮します。

対する日本の歴史をみますと、島国で火山のある狭い地域に日本人は育ってきました。平安時代から時の権力者によって、移住を禁止され江戸時代も藩ができて関所が置かれ、限られた人しか出入りできなかったのです。

まして立派な農耕民族です。農耕生活は移住する必要もなかったので何も問題なかったのが大きな理由の一つでもあるんですが。その土地で仕入れられないものは他の広い範囲から商品を運び込む卸売り業が成り立ったのです。そうして三井、住友などの巨大な力が生まれる基となりました。

そういった閉鎖された狭い土地の中では過剰な表現をしたり、一発儲けてやろうなどというのは、あいつは信用できないというレッテルを貼られて商売ができにくくなり、控えめでペコペコしている商売人の姿が自然に育っていったのです。テレビにでてきますよね。そんなコメツキバッタの商売人が。同一民族が限られた地域で仲良くしたなかでの商売方法が長いこと続いてきました。

実は、つい最近までその方法で商売ができたと思うのです。「ベテラン営業マン」と表現された時代はその中で強い力を発揮していました。高度成長期に都市圏への過密な移住で誰も知らない人ばかりを相手に商売をしなくてはならなくなり、商圏ばかりが広くなり、カタログやインターネットの通販は新しい市場を作り出しました。

ところが、今までの商習慣のままで販売活動を続けてしまい、「とにかく訪問してお客様と親睦をはかれ」という営業方法のみの活動でうまくいかないというところが多いような気がします。お客様に好かれるのは大事ですが、今までの方法だけではやっぱり商売は成り立たないと思うのです。個人や零細企業はもっと接近戦で戦うための知恵を絞った商売を勉強する必要があります。

インターネットはそれが実践できる素晴らしい媒体なのです。最初に書きましたようにランチェスターの法則で「下請けをしないで自社商品をもつ」「接近戦をする」というのは、ニッチな市場ですがGear-Labはそれに準じています。

アメリカからは日本に最初にブリタニカ百科事典などの訪問販売方法が流れてきましたがそのあと、通販ではリーダーズダイジェストがやってきました。地域の人達を営業マンにする多種のネットワークビジネスなど、全部アメリカからです。

小売店は、大規模大企業も零細企業もアメリカは凄いのです。西友を買収した世界一のウォルマートをはじめとして、世界一の坪効率でギネスブックに載ったニューヨークのステューレオナルド。通販で有名なシアーズローバックは、私も個人的に凄いなあと思っています。メールで商品の傷を指摘すると「承知しましたお代金は無用です。もう一つ送りましょうか?」と地球の裏から数時間後にメール返信してきます。

シアーズローバックのテレビ通販の企画もコンピュータを駆使して全て一人で番組制作をやってしまいます。カメラマンも照明も司会者もプロデューサーも一人でやってしまうのです。そしてデリバリーを完全にアウトソーシングしています。他の通販会社ではアウトドア商品のカタログを請求すると、厚いアウトドアの総合カタログが送ってきて関連するライフル銃、しまいには手留弾やロケットランチャーのカタログまで・・・冗談みたいなホントの話しです。

アメリカに学ぶことは確かに多いとつくづく感じています。

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