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福山克義がつづる
汗と涙と笑いのモノつくりコラム

(28)アメリカの通信販売

最近のアメリカのマーケティングの本は、"niche"や"deep"という言葉がいつもでてきます。一極集中"concentration"するということや、絞り込んだ人が全部取るという"Small takes all."などです。

ほとんどがフォーカスの話しで、フォーカスできるかどうかそればかりです。それほどフォーカスするのは難しいんですね。自信がなければ実行するのは難しいし「戦うところはここだ」とはっきりした戦略をもっています。例えるならば得意技を持った空手ファイターみたいで、まだまだアメリカは強く世界経済を引っ張る底力があるなあというのが漠然と感じています。

ダイレクトメールなんてのも半端じゃない量です。いくら国土が広いから通信販売が成り立っているといっても、一人あたりでは日本の7〜8倍の量があるということを聞きました。私のところへは毎日だいたい3通くらいのDMが来ますから、毎日20通以上も来ることを想像するとゾッとしますよね。

差出人は会社ではなく、担当者か社長の名前です。アメリカでは分厚い資料や無料サンプルが入ってきます。こんなんで実際に注文する人ってどのくらいいるのかなあと思いますが、このビジネス構図は凄いのです。

アメリカの通信販売はほとんどの会社が「商品に満足しない場合は全額代金返金」を約束しています。この拮抗した激しい競合のなかでこれは通販の常識にもなっているくらいで、その返金保証がないということは「商品の自信のなさ」とも受け止められるくらいらしいのです。

年間460億ドルも販売する老舗のシアーズは、50年も前から全額返金保証を実行しています。一見カード詐欺師がたくさん横行しているように想像してしまうアメリカですが、日本のインターネット通販の常識とはここが違うのです。

本当にこれで儲かるの?とついつい電卓をはじきたくなります。その利益の秘密は、やはり「顧客リスト」の創造価値にあります。一人の顧客は単発ではなく将来にわたりどこくらいの利益をもたらすか、過去の経験則より計算しつくされた数字です。

通販会社は、1回だけで損益計算をしているのではなく、長い期間をかけて顧客リストを育て、お客様との関係を発展させることが最大の高収益に繋がるというビジネスです。

1回のオーダー率が0.1%であったとしたら日本人なら「ダメだ儲からん。」と言ってしまうのですが、アメリカは顧客データの累積で「これから10年間でこれだけ安定して儲かるぞ。」と計算します。仕掛けるビジネストラップとしてはアメリカのやり方は図太いのです。

最近私は、ランチェスターの経営戦略の研修にずっと行っていますが、竹田陽一社長に「釣具通販?あなたの仕事は名簿産業です!」とはっきり言われました。

次回は通販をやる方には是非とも知っていただきたい「ランチェスター経営戦略」についてお話ししたいと思います。「80年前の法則なんて使えないよ」なんて偉そうなことを昨年まで言っていた私が、特にお奨めしたい経営戦略であります。個人でやる弱者のビジネスは絶対に「接近戦」が有利だというお話しです。

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