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福山克義がつづる
汗と涙と笑いのモノつくりコラム

(30)ランチェスター〜弱者の商品戦略〜

前回ランチェスター戦略の法則で弱者がとるべきの戦略の話をしました。

私達弱者が売ろうとする商品を選ぶときも、同じようにその商品戦略は接近戦である小規模一位主義に徹底的に注力すべきです。小さな市場で一位を掴むということです。その市場でNo.1の商品を作り出すことは、大きく利益に影響します。

強者型とは1)大量生産、2)大量販売、3)安値販売、4)大資本、5)大衆相手が基本となります。これを一つでも絶対に真似しないということです。弱者は1)〜5)のどの一つも該当してはいけません。

弱者型はどんなことがあろうとも、1)少量生産、2)少量販売、3)高価格、4)小さな市場という4つの立場を崩してはいけません。ついつい大手が安売りしてくるからこっちも安売りで対抗しないと勝てないという考え方をしてしまいますが、絶対にそのワナにはまってはいけません。

戦略を少しでも変えるときは、この検証をいつもやってください。決してこの鉄則を崩さないことです。このことは非常に大切なことですので注意してくださいね。

ですから商品を選ぶときも、弱者は市場規模の大きい商品や大衆を相手にした商品には手をださないことです。一般的に立派な商品評論家が言われる「この商品市場は今から伸びる!」という甘いワナにはまらないことです。大衆を相手にしたら、市場が大きいので売上も利益もバンバンでるということなんて弱者にはありえません。弱者は叩きつぶされます。

2500年前の孫子の言葉ですが「戦わずして勝つ、勝ちやすきに勝つ。」って素晴らしい教えですね。戦国策の「鶏口となるも牛後となるなかれ」っていうのも凄い教訓です。いにしえを知るのは自分自身のためですね。

ランチェスターの第2法則の、競争力は経営規模の二乗作用に大きく影響されるという恐ろしさを是非数字で確認してください。規模の差3:1は、実際には9:1の戦力差になります。

具体的にイメージしてみてください。同じ商品、同じ営業力、同じ客先でとんでもない差がでてくるのです。勝てません。「やる気」とか「販売力」というものでは決して追いつきません。「やる気があれば何とかなる。」という人は壁に「気合いだ」「根性だ」など書いて必ず失敗してしまいます。差別化をするにはやはり商品選定です。

どうしたら勝つか?これは空手と一緒です。空手ってマーケティングなんです。得意技を持たない人はバランスが悪くて、なおかつ弱いのです。どこかに集中するとその人はバランスが保てます。マーケティングというのは切り捨てることです。無駄なことを削る事ともいえます。一つの技に徹底的に集中して練習し得意技をもつことがとても重要になります。また、どの技も力んでばかりの人は格闘技ではいわゆる素人です。リズムの無い力んだパンチばかりをドンドンドンと同じ調子で打つ人が勝つことはありません。

それで勝つのはボブ・サップぐらいでしょう。彼でさえもパワーという得意技に一極集中したのです。

よく言われる「選択と集中」ということは「強いものを伸ばす」ということでもあります。そしてそれは「楽な道を選ぶ」ということでもあります。

今までにない商品を作るときは、商品を一つに絞ることが得意技の条件になります。あなたが選んだ一つの商品に絞って力を集中しましょう。

オロナミンCドリンク(大塚製薬)・コカコーラ(日本コカコーラ)・チキンラーメン(日清食品)その他たくさんの会社は、長い間たった一品だけに注力して商品をブラッシュアップしてきました。番外弱者でありながらアレが駄目ならコレで勝負しようとたくさんの商品をラインアップするのは失敗のもとです。たくさんの物を並べるとまず個性が消えます。個性が消えるとお客様に伝わりません。そしてモチロン売れません。

ではどういう商品を作ったらよいでしょうか?
市場規模が大きな普通の竿やリールに手をだしたら駄目です。過去に竿の特許に関する紛争がありましたが、ああいったものに弱者は巻き込まれないことが大切です。弱者は大企業が手を出さない商品、学歴の高い人が手を出さない商品、ローテクの商品、特殊な商品に絞りましょう。

高価格な特殊なものでセミプロ用をターゲットとしたものも良いでしょう。商品にライフサイクルという盛衰がありますが、衰退期に入ってもこういった特殊な商品は価格をさげても売れないので高価格帯を維持することが可能です。

しかし低価格にしないと売れないという場合がありますが、これは消耗品などの継続取引型に限定されます。
「俺がつくる」の著者岡野雅行さん率いる社員6名、売上6億円の岡野工業のように誰もやりたがらない安い工賃を、オートメーション化して多量に作るという手もあります。ただしこれは売る販路を持っている場合に限られますのでなかなか真似できませんね。

最近、新たな商品市場は環境対策型商品です。
この市場は、どの商品も今は原価が高いので販売単価は高くなってしまいがちですが、このことをチャンスととらえるのか、高いから売れないので駄目だととらえるのかの決断ですが、初期投資があまりかからないのであれば弱者はチャレンジしても良い市場だと思います。時流が一番大きなリスクですので当然きちんと押さえる必要はあります。
特化した釣具でローテクで投資が小さい環境対策型商品はいかがでしょう?

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