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福山克義がつづる
汗と涙と笑いのモノつくりコラム

(33)時間戦略・・・量稽古が勝つ時代

この時代に「時間量をこなすことが大切だ」というお話しをしても「量?違うよ!今大切なのは質だよ」と言われる人も多いかと思います。

エジソン、本田宗一郎、キューリー夫人をはじめ、多くの偉業をなしとげた人たちは年間6千時間という長時間労働をしています。トルストイ、ドストエフスキー、バルザック、モーツアルト、バッハ、ピカソは、たくさんの作品を残していて、そのために膨大な時間量をこなしています。
天才がそうですから凡才の時間投入量はとんでもない量になると思います。

私はいつも趣ある釣具のことを考えています。有名ブランドの釣具よりも、全国の熱い製作者が作りだす釣具についてはいつもワクワクしています。
ある人が考案した未完成の釣具のことを考え出すと、そのことばかり考え込んだりしています。どうしたらもっと製品価値があがるかなあ、もっとプロの味を出したいなあ。どういうコピーを書けばインパクトあるかなあ、写真でどうアピールできるかなあ、この色に変えたいなあ、この素材を使うとこうなるなあ、 特許はここを押さえよう。そんなことばかり考えています。仕事場は机の前ばかりではないので、廻りからは遊んでいるように見えるかもしれません。

でもそういった自発的な仕事はワクワクして気持ちは楽なので、24時間働けます。他人から言われた仕事では絶対にできませんね。たとえ立派な社屋に開発室をもった大企業でも、開発しろと言われてやっている人は強いパワーを感じません。人は義務だけでは続かないのです。

現在のアメリカ人の平均労働時間は年間1825時間です。実は日本人と全く同じ労働時間です。太平洋戦争の敗戦から、またまた日本は負けるのではないかと心配です。もともと農耕民族の日本人は弱いのです。アメリカ人と握手したら頭のなかで赤信号が点滅するのは私だけでしょうか?(握力の差ではないですよ)

なぜ時間量が大切なのでしょうか?商売が当たる当たらないの話をすれば、あーだこーだの話しはたくさんあります。でもそんな理屈や新奇なものを追い求めて当てようとする前に、しなければならないことがたくさんあると思います。

まず信じるべき一次情報として今流行っているものについて、自分の足で見に行き、なんでそれが当たっているかを研究することだと思います。そしてどうすれば自分のビジネスにあてはまるかを考えて、それを具体的なヒントにします。

そうしたら、本を読むのは当たり前。お店に人が並んでいたら自分も並ぶのは当たり前、新聞読んでこれ凄いと思ったらすっ飛んでいくのは必然なんです。特に本物を素直な気持ちで受け止めて、美しいものを見て、映画でも工芸でも絵画も文学も古典も名作を素直な気持ちでたくさん見たいものです。

本を読むことは仕事かどうかと議論するのはONかOFFを区切らなければならないという人の意見です。昔の偉人の格言は、私を熱くさせるし、戒めもしてくれます。素晴らしい人間の生き方にインスパイアされるとエネルギーが爆発します。著者との人格の出会いに感動があり、あとは勢いで行動します。そこで自分の厚みをつけたいと願っています。本当の力をつけてビジネスを楽しみたいものです。それだけでもたくさんの時間量が必要なのです。

空手家南郷継正の武道哲学の話ですが、その中心となるものが唯物弁証法で、稽古の量から質への変化を武道で説明しています。ある日突然、自分の一部の能力が劇的に変化することを説いています。

その課程を踏む前には、必ずある量をこなさないとその瞬間はやってこないということです。気の遠くなるような回数で左前蹴りをやっていると、ある時にとんでもない武器になってしまうということを人間を科学的に解明しています。何かが変わる瞬間。量から質へ転化する瞬間が必ず来る。その確信をもつことです。

商品よりも自分自身をマーチャンダイジングをするために自分自身を鍛えなければなりません。物の見方や考え方を鍛えるためにはやはり時間量が必要です。

だいたい私は物覚えが悪く、不器用でなかなか覚えません。だから今は正直辛いことも多いです。でもわかっていることが一つあります。ある臨界点に達するとジェット機にでも乗っているかのようにGがかかり技が加速しながら上達します。それまでは時間戦略で地味に行動しなければなりません。楽しむ前に少しばかりのストイックに立ち向かう地味な時間量が必要だと思います。

今の時間戦略 量の戦略は未曾有のパワーを発揮すると思います。
パートナーであるJUNさんが講演で話した言葉が私は忘れられない。

「最近特に思うのだけれども、今、ちょうど戦後の焼け跡に闇市が建ったような状態です。とりあえず早いもの勝ち。・・・ネットの利点は・・・地方復権の数十年に一度のチャンスです。」

これです!あの闇市のシーンをイメージできますか?終戦は1945年で私は1959年生まれなので実際に見ていませんが、写真でみる戦後復興期のドサクサに紛れた状況。ただしそのなかでうごめくエネルギーを写真からビンビン感じることができます。その写真の中に入っていきたくなる気持ちになってしまいます。そして長い高度成長期のあとに80年代半ばを絶頂として日本社会は没落していきました。

今が戦後と同じだと言うのです。これから十年の間に様々な分野で事業の大逆転が起きてきます。今は安泰だからと思われているものがあっけなく潰れ、これまで見向きもしなかったものが一気にのし上がってくる。そんな大逆転が必ず起こる気がします。

1995年からのネット起業ブームはあっけなく終わりましたが、今度は単なるブームではなく、本当に強いところだけが生き残るというサバイバルゲームが始まります。

実は私自身が「努力」「忍耐」なんて暗い言葉が大嫌いでした。しかし今は、あのときの私の浅い考えを自分自身で笑っています。恥ずかしながら去年までの私の話です。高度成長期が終わってからは、楽して儲けようという時代が長すぎました。もうその時代は終わっています。

逆に見るとこれはチャンスです。まだまだ楽して儲かろうと思っている人が世の中たくさんいるのですから。それに気づいた少数の人間だけが時代を先取りできるのではないかと感じています。
今、時間戦略の解決策は「苦しさを楽しさに変えること」しかありません。よって「楽しむ」と「楽する」ことは実は逆の意味をもつのです。

時間戦略でちょっと頑張れば、それはランチェスターの法則からいっても投入時間の二乗に比例して結果はでてきます。実はこの法則は深く別の機会にお話しさせていただきます。ランチェスター経営の竹田陽一氏は人生では三乗になると凄い話しをされていました。

昔は皆が泥臭く頑張ってきたから目立たず、成功もしにくかったかもしれません。しかし今は頑張った人が正しく評価される時代に突入したのです。メロウな時代に生きてきたけど迷っている人はこの言葉を聞いてください。

量稽古した者だけが勝つ時代です。

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