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福山克義がつづる
汗と涙と笑いのモノつくりコラム

(35)お客様を選ぶことは、自分の人生を選ぶこと


前回、「お客様を選ぶ」という話をさせていただきましたが、実はこのことはもっと重要な意味をもちます。生涯やっていく仕事のありかたの話です。私の場合仕事のモチベーションを最大限にあげる方法でもあります。結論から言わせていただくと誰のために仕事をするかという部分です。

私の悪友は「オマエはいいよなあ。好きな仕事ができて」と言います。しかし、それはちょっとちがいます。自分のための仕事はすぐに飽きてしまいます。どんなに仕事で成功している人を見ても、仕事観がしっかりしていないと「なんかガサガサだなあ」と感じてしまいます。年収1億円の人を見ても、ちっともうらやましくないのです。すでにそんな人はバランスを崩していて、人生に失敗している場合も多いのです。また、サラリーマンでも「この仕事は本当にやりたい仕事ではない」と言っている人は、自分のためだけに働いている人だと思います。

人生の中で最高の仕事とは一体何でしょう?私は人を喜ばせる仕事をやっているかどうかが一番大切だと信じています。その仕事をすることによって誰が喜ぶのか?これを明確にすることが大切なのです。お客様のため?自分の業界人のため?ニッチな釣りをする限られた人のため?両親のため?子供のため?恋人?親友?祖父母?共に喜べる人が見えてきたら、すでに人生で成功しているように思います。人のために生きようとすると、自然に自分が魅力的になります。自分が好きになれます。おっ、ちょっとカッコイイぞと思います。

広い太平洋上にある無人島があって、そこには凄い豪邸が建っています。食べ物も豊富にあって海岸にはコテージがあって素晴らしい眺めです。生きていくには不自由なことはありません。でもそこにはあなた一人しか住んでいません。何かを喜びあうような人もいません。楽しいでしょうか?私はごめんこうむりたいです。あたりまえですよね。

ハワイに住んでいたときも最初の一週間は正直申しまして恥ずかしながら英語ができなくて、引きこもり状態から生活が始まりました。エレベーターに乗っただけでも「ハーイ」と喋りかけてくる英語にビビってました。綺麗な海やオレンジ色の夜景などは一日で飽きてしまいます。誰かと一緒でないと面白くないのです。

やはり人との接点があって初めてハワイが好きになりました。ハワイ大学で私が教えていた空手ですが、道場生がうまく廻し蹴りができたとき、私が大声で"That's it! Great! Perfect!"と叫んだら嬉しそうに喜んでくれたあの顔が今でも忘れられません。

プロスポーツマンでも単に自分が好きなだけでそのスポーツをやっている人は、やがてそのスポーツに飽きてきます。でも自分の活躍でたくさんのお客様が喜んでくれればそれは高い次元で感動的なことだと思います。

その逆にどん底に陥り、自分の力ではどうしようもないことを感じることもあります。そういったとき必ず助けてくれる人が現れます。本当にどん底の絶望を味わっているときには、人の情けは「感謝」として感じることができます。今までより、もう一つ大きな自分の枠をもつことができて、自分の生きざまで人に接することができます。

私はまだ若輩だと思いますが人生は理不尽で辛いことがたくさんあって「やめたいよね〜。こんな辛いこと」といいながら、「でもこんな素晴らしいこともあるじゃないか」ということも仕事のなかにはたくさんあって、その結果「やっぱり人生は素晴らしいよね。」ということになります。それは誰のためにという気持ちがないと成り立ちません。そしてそれを喜んでくれる人がいないと全く面白くないことになります。

これを仕事で考えるとき、「喜んでくれるお客様」ということになるのですが、それがはっきりイメージできれば最高です。やっぱりお客様を選ぶというのは、本当は選んだお客様が喜んでいるのを見たいということなのです。

お客様の喜んだ顔や言葉が帰ってくる仕組みを作り上げている会社は、社員が元気で志気があります。業績も良いのも当然の話で、先述のリッツカールトンホテルもその仕組みを作っています。

それはその仕組みを作った社長が偉いのです。知人の高級果物を扱う社長さんが嬉しそうによく人に話すのは、お客様から来た喜びの言葉が込められたハガキです。お客様とのコミュニケーションの形を作るということは必須です。このことは社員が同じ方向を向いて仕事をするご馳走になります。

そしてそれはエキサイティングなのです。ドラスティックに舵をもっていることを感じます。ある作家の言葉ですが「世の中には良い人間も悪い人間もいない、いるのはエキサイティングな人間か退屈な人間かだけだ」と。

さてさて、今日は誰を喜ばせて自分がエキサイティングに楽しみましょうか?

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